ーふるさとの山:眉丈山(びじょうざん)と手前は邑知潟(おうちがた)ー 


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エッセイ/6月号掲載

名前の由来
 
 
 一月の、雪ふりつむ朝にわたしは生まれた。
 小さな菓子屋を生業とする和菓子職人の父には、待望の男子だったのだろう。
四人目にして、長男を授かった両親は大喜びで、父は、今度は二男坊だと公言
して憚らなかった。重圧を解かれ、先ずは一安心の母は、もう子どもはいらない
と思ったそうだ。そんな折、誕生したのが五人目のわたしである。
 名前を付ける段になって友人に相談した父は「男子はもう諦めたら?」と助言
され、その場の雰囲気でわたしの名前を決めたそうだ。長女と長男には、父の
名が一字ずつ使われ、二女、三女にはそれなりに字面の良い名前がついてい
る。
 中学二年のある日の国語の時間、名前の由来を発表することになった。「明る
く美しい子になって欲しいから、明美です」。「昭和に生まれたので昭夫です」。ク
ラスメート達の誇らしげな声が教室に響く。わたしの番がきた。とても本当のこと
は言えない。「子どもはもう済みました、の○○子です」だなんて。父が恨めしか
った……。そんな中、あんなに否だった名前を次第に受け入れてゆくわたしが
いた。歳月とは不思議なものである。
 いつか、母になる日が来たら、蛙や富士山を謳う詩人のお名を、子に付けよう
と温めていた。本の好きな子どもになって欲しくて、毎晩読み聞かせをした。高校
の試験問題で、〈作者は傍線部分に何を思ったか?〉の答に、バツを貰った彼
は語気を強めて言った。「あれはおかしい、人の思いはそれぞれだ。答がひとつ
の数学の方がよっぽど面白いよ」。
 斯くして、彼は詩歌にゆかりの無い道を選び今に至っている。何ともはや……。 
 
 
 
 
    ☆シンフォニーより☆


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游(ゆふ)

Author:游(ゆふ)
いらっしゃいませ♪
ン十年前はこんな風でした。
  (少しおまけあり♪)
好きな文字 「樂・游」
樂をして楽しく
游ぐように遊びたい。
「音」所属

 
 
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